今年の4月9日に出た最高裁判例をご紹介
簡単にまとめると
「責任を弁識する能力のない未成年者がサッカーボールを蹴って
他人に損害を加えた場合において、その親権者が民法714条1項
の監督義務者としての義務を怠らなかったとされた」
事案は『当時11歳の子供が放課後、学校の校庭でサッカーのフリーキック
の練習をしていたところ、ゴールに向かって蹴ったボールが校庭から道路上に
転がり出て、これを避けようとした当時85歳の高齢者が転倒して負傷し、
その後死亡したというもの』
原審の大阪高裁は親の監督義務違反を認定して、亡くなった方の相続人の請求を
一部認容しました。
しかし、最高裁は、714条1項但書前段による免責を認めて、親の監督義務違反は
ないとして、相続人の請求を棄却しました。
この中で、最高裁は責任能力のない未成年者の親権者の直接的な監視下にない
子の行動について「人身に危険が及ばないよう注意して行動するよう日頃から
指導監督する義務がある」としつつ、本件事例で「校庭でのフリーキックの通常
人身に危険が及ぶような行為ではない」として子どもの当該行為から人身に危険が
及ぶとの予見可能性はないと判断しています。
事例判例ではありますが、親御さんの責任の範囲ということでは参考になりますので
簡単ですがご紹介いたします。
安原でした。