よくある事例
87歳の母が認知症となり、同居している長女が介護をしています(父はすでに他界)。
母はお金の話題を嫌っていたため、長女も全部を把握できていないといいます。離れて暮らす二女と長男は、長女が好きに使っているのではと疑いつつ、介護を引き受けてくれているのである程度は仕方ないかとも思っています。
このままでいいのでしょうか?
きちんとしたくても母とは話し合いが成り立ちません。
メッセージ
急速なスピードで進む、日本の高齢化。認知症の患者数は、2010年では約250万人でしたが、2035年には約445万人となり、1.8倍に増えるという予想が出ています。
高齢になると、体力面での衰えも気がかりですが、実はこうした認知症のリスクも高まっていきます。
当法律事務所は、「相続財産は財産をつくった方がどうするかを決めてよい」という方針に基づき、生前対策のアドバイスに力を入れています。
適切な助言を通して、お客様とそのご家族がよりよい人生を送るお手伝いができればと願っております。
遺言書
なぜ必要か
残された家族が争うことなく気持ちよく遺産を相続するためには、遺言書が欠かせません。
遺言がなければ、法定相続人に法定相続分が分けられることになります。
法定相続人ではないが、介護などでお世話になった内縁関係の妻や孫にお礼の気持ちを残したい場合、寄付を行いたい場合など、遺言があれば思いが残せるのです。
また、準備なく突然亡くなると、相続人は財産や借金の全容がつかめず大きな不安を与えてしまいます。トラブルを未然に防ぐためにも、ぜひ遺言書を作成しましょう。
遺言書作成
遺言の種類は大きく分けて2つ、普通方式と特別方式があります。
特別方式は、死期が迫っている特殊な状況下における例外的な方式ですので、一般的には普通方式によって遺言を作成します。さらに、普通方式の遺言は、自筆証書遺言書、公正証書遺言書、秘密証書遺言書の3種類があります。
自筆証書遺言書は、手書きであれば用紙は何でもよいのですが、手軽さ故に不備も発生しやすく無効になるケースも多いのです。
当法律事務所では、公正証書遺言をおすすめしています。
公正証書遺言は、証人が必要であったり、費用がかかったりと面倒にはなりますが、公証人(法務大臣により任命された法律の専門家)が、被相続人から遺言にしたい内容を聞き取って作成するので、後々争いが起こる可能性を抑えられます。
原本は公証人が保管しますので、紛失や改ざんの心配がない点もメリットといえるでしょう。
贈与
相続税と贈与税
相続税と贈与税は、相続税法という法律の中に定められており、とても関係の深いものです。
相続税は、被相続人が亡くなったときに、遺産の全部に対して課税するものです。したがって、一時的に家計に大きな負担がかかるというデメリットがあります。
その偏りを避けるために、生前にあらかじめ遺産を分け与えるという方法を選択することもできます。そのときに関わる法律が贈与税です。
生前贈与
生前贈与とは、相続税の節税対策のひとつです。
何よりのメリットは、元気な内に自分の意思で配偶者や子どもに財産を分け、相続財産そのものを減らすせること。生前贈与にももちろん贈与税がかけられますが、仕組みをうまく組み合わせて利用することで、節税効果が得られます。
成年後見
成年後見とは
認知症や障がい(知的もしくは精神)がある方は判断能力が不十分で、財産の管理や契約、遺産分割協議を行うことが困難です。
被害に遭わないために、判断能力が不十分な方を保護するために定められた制度です。
任意後見とは
任意後見制度は、成年後見制度を補うものです。
本人に十分な判断能力がある内に、将来に備えて、あらかじめ自分で後見人を選びます。これを任意後見人と呼び、自分の療養、看護、財産管理にまつわる事務等について、任意後見契約を結んでおきます(公証人の作成する公正証書)。
のちのち、本人の判断能力が低下した際には、任意後見監督人選任の申立てを家庭裁判所に申し立てます。そうすることで、それ以後は任意後見人が本人の意思にしたがう形で財産等を守ることができるのです。
死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、死亡直後の事務手続きを託すものです。
通常の委任契約は死亡時までとするのですが、死後事務委任契約は、死後も一定期間だけは効力があります。
「自分の死後に、煩雑な手続きで家族に迷惑をかけたくない」と考える方が活用される場合が多いようです。内容としては、次のようなものになります。
- 死亡届・火葬許可申請書など、役所への手続き
- 葬儀の事前契約、葬儀社への依頼など
- 遺族年金の申請。公共料金、カード類の解約、生命保険などの諸手続き