よくある事例
父が死亡し、母と子2人(合計3人)が相続人となりました。
遺産は両親と長男夫婦が住んでいた家・土地(評価額合計3,000万円)、預貯金が600万円でした。父と一緒に暮らしていた母と長男は今までどおり住み続けたい(=家と土地の相続)を希望。長女は、土地を売却してきっちりと法定相続分を分けるよう主張。
この場合どうしたらよいのでしょうか?
メッセージ
こういうケースでは、相続人同士で話し合ったが主張が食い違い、収拾がつかなくなってから弁護士を訪ねる方が大変多いものです。相続人となったら、一日でも早く弁護士に相談することが肝心です。
互いを不必要に傷つけあっても何も得るものはありません。両者の主張を受け止め、両者が納得のいく解決策をご提案いたします。もめる前に相談、を心がけてください。
遺産整理
必要な手続
遺産を相続するには、何十もの法的手続きが必要となります。
それらの複雑な各種手続きを代行するものが遺産整理業務です。主に次のようなものになります。
- 相続人の調査(相続人の範囲を戸籍から確定します)
- 遺産の調査(資産や負債など)
- 遺産目録を作成(相続財産の確定します)
- 遺産分割協議書作成(相続人同士の話し合いをまとめる)
- 名義書換手続きサポート(協議書に基づいて手続きを行います
- 相続税の申告と納税(申告が必要な場合は当法律事務所連携の税理士を紹介いたします)
遺留分
遺留分減殺(げんさい)請求
相続人は、法に基づいた一定割合の相続をすることができます。これを遺留分といいます。
遺言書が遺留分を侵害するような内容であった場合、「遺留分減殺請求」を行います。遺言書の効力を失効させ、遺留分の範囲内で財産の返還を要求するのです。
その意思表示は証拠を残すという意味でも、配達証明付の内容証明郵便で送りましょう。しかし、遺留分減殺請求権には期限があるため注意が必要です。
期限
- 相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから、1年間これを行わないとき
- 相続開始のときから10年を経過したとき(民法第1042条)
遺産分割協議
遺産分割協議について
相続人全員で相続財産の分割方法について話し合うことを遺産分割協議といいます。遺産分割協議のポイントとしては3点あります。
まず、相続人をきちんと確定させること。被相続人の誕生から死亡までの全部の戸籍と、相続人の戸籍を全部取り寄せて確認しましょう。
次に、遺産を確定させること。遺産の範囲があやふやな場合は先に遺産確認訴訟等を行わなければならないこともあります。
そして、遺産分割の基準を明らかにすること。遺産分割の基準は民法に定めていますが、これを調整する場合も想定されています。
寄与分(被相続人の財産の維持・増加に関わった場合)、特別受益(生前贈与を相続財産として扱う場合)、法的欠格事由(被相続人に対する虐待や非行がある場合)。遺産分割協議は交渉の場です。決着がつかず何年も相続人同士で対立したままといったケースもあります。
この段階から弁護士に依頼するメリットは、調停や審判を見据えた交渉ができるところにあります。