マンション問題に関する裁判例の紹介を一つ
東京地裁平成27年3月30日判決(判例時報2274号・57頁)
あるマンションにおいて、長年会計担当をしていた理事の方が
横領行為を行って管理組合法人に損害を与えたという事案なのですが
横領金額は認定された金額としてなんと1億1528万円!
当該会計担当理事だけでは到底補てんできる金額ではないことから
当該会計担当理事と同時期に理事会のメンバーであった他の理事長等に
対して監督責任が問われたものです。
結論として、理事長と会計監査役員の責任が認められ
副理事長の責任は否定されました。
細かな認定は裁判例を見ていただくとして
当該会計担当役員からの会計報告をどの程度受けていたか否か
詳細に事実を認定したうえで、責任の有無に差が出たようです。
また、マンションの管理組合の運営の実態にも言及し、実際に
監督責任を負わせるべき範囲については過失相殺法理を類推して
約1割程度に責任を制限しています。
現在控訴されているようですが、少なくとも他の理事任せという
ことでは、責任を負わされる可能性があるということが示されております。
理事の皆さまも任期中しっかり相互監督するような意識が必要ということになります。
以上、裁判例のご紹介でした。
安 原