弁護士コラム

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2014.11.16更新

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成年後見業務をしていると,担当している方が入院する場面にたびたび遭遇します。そこで悩ましいのが医療同意の問題。入院先の病院から,「胃瘻を造設したいのですが,本人の意思確認ができません。後見人のほうで同意書を作成していただけませんか?」といったお話をいただくことは珍しくありません。

医療同意の性質については,様々な見解が示されていますが,大方の理解では,同意できるのは本人だけで,後見人には同意の権限も義務もない,とされています。同意書にサインを求められても,後見人としては「できません。同意する権限がないんです。」とお答えする以外にありません。

とはいえ,本人の意思確認ができず,本人のために同意してくれそうな身近な親族もいない場合に,誰も同意ができないから,そのまま最期を待ってもらうしかないというのも,ずいぶんと無責任な感じがします。後見が開始した当初からまったく判断能力を欠いていたという方はともかく,そうでない方については,同意を求められる時が来る前に,後見人がしっかり話をして,その意思を事前に確認しておくことが大切ではないかと思います。

こういった考えもあって,最近,私が担当している方と順次お会いして,写真にあるような「事前指示書」を見ながら,終末期医療について考える取組みを始めています。判断能力の有無や程度にかかわらず,誰にとってもたいへん難しい問題。一緒に頭を抱えながら,人のいのち,自分のいのちについて,日々考えています。

*写真の事前指示書は,臨床心理士の藤井悟子さんが書いた『延命治療について知っておきたいこと 〜こころに添う最期〜』(西日本新聞社,2014)に収録されています。

http://www.amazon.co.jp/dp/4816708790

あびこ

投稿者: 昭和通り法律事務所

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